命とは

 


命の定義とはなんだろうか?

 

生きているということか。
ならばモノに宿る精霊たちは器物の妖怪たちは命はないのか?
いや、そも存在すら認められないのか?

考えればキリがないが、実際それは考えるべきことではないのだろう。
自分がそれを認識したなら、それは命宿り生きているのだから。
誰か1人がそう思うなら、千人がそれの命を認めなくてもそれに命は宿っているのだろう。

ならば、逆にその命を無視し、奪うこともためらいなくするものがいても不思議ではない。

 

 

そうして生きてきた。


自分以外の命を何のためらいもなく奪って、奪って、…生きてきたのだ。
奪う命の重みも何も考えることなく。
ただ本能のままに。

それなのに。


今は、その「命」が愛しい。
足元に転がる小さな小さな命を見捨てられない。
誰にも見向きもされなかったその存在を受けいれてしまったから。
もう戻れない。

その小さな命を生かすために、己の命をかけることすら厭わない。

愚かだろうか。
昔の己ならきっと嘲笑っただろう。

 

けれど。

 

きっと貴方はそれを大切なことだといってくれるだろうから。

だから私は


ためらうことなくこの目に見える「命」たちを守っていくだろう。
それが、私に残された貴方との約束でもあるのだから。

 

この命が果てるまで。

 

ねぇ…鵺野先生…。

END