幸せのチョコ

 

「はい淳クンこれ
 ヴァレンタインのチョコよ
 受け取ってね」

「淳〜これあげるわ
 あ、無論義理よ」

そういって舞耶姉さんとリサがチョコをくれた。
今日は僕の誕生日で、そのプレゼントは別に貰ったんだけど、今日はヴァレンタインデーでもあるからチョコまでくれた。
チョコレートが好きっていうのもあるけど何だか嬉しい。
義理とか本命とかそんなの関係なく

貰った事がとっても嬉しかったんだ。

 

だから

 

「はい達哉これあげる」

「え…?」

達哉にチョコをあげたんだ。
もちろん達哉も舞耶姉さんやリサから貰ってはいたけど。
一杯貰えればそれだけでもっと嬉しいんじゃないのかなって思ったんだ。

達哉はなぜか一瞬戸惑ったように視線を彷徨わせたけど、すぐに少し顔を赤くして僕に笑顔を向けてくれた。

「あ、ありがと…
 あの…淳これって」

「うん、あのね舞耶姉さんたちに貰ったでしょ
 それがすっごく嬉しかったから
 僕もなんかあげて喜んでほしくて
 達哉が喜んでくれたらいいなって」

「そ、そうか」

「うん…
 普通はオンナノコからだけかもしれないけど
 最近は友チョコっていって友達でも渡すしたりするんだよね」

「え…?」

 

 


………なんだろう。
なんかそういったら達哉ひどくしょげちゃったけど。
そんでどこか行っちゃった。
僕…なんか達哉傷つくようなこと言ったのかな…。
せっかく喜ばせようと思ったのに…。

 

 


「淳」

「何?」

しばらくしたら達哉が戻ってきて小さな包みを僕に渡してくれた。

「あれ…これチョコ?」

「俺もやる」

「ほ、ホントに
 ありがとう…」

うわ…達哉から貰っちゃった。
なんだろう…舞耶姉さんやリサに貰ったのより嬉しい。

「淳…
 それはな…友チョコじゃなく
 本命だからな!」

「へ?」

達哉はなんだか早口でそういうとまた僕に背を向けて歩き出した。

本命…?

「達哉〜まってどういう意味?」

「うるさい…」

何か達哉怒ったようなそぶりだけど、本気じゃないのは僕が追いつける速度で歩いてくれているのでわかったから、僕はその意味をなんとしても聞きたくて達哉を追いかけた。

 

 


どんなチョコでも貰えば嬉しいけど。

それに込められた思いで

もっと嬉しくなるんだって

僕はその日知ったんだ。l

 

END